井筒安について
江戸時代後期、天保十年に創業
料理旅宿「井筒安」は、天保10年(1839)、真宗大谷派本山・東本願寺の門前町の一角で、料理屋、旅籠屋として暖簾を掲げたのが始まりです。
僧侶やご参詣の方にひとときのくつろぎをとおもてなしを続けるうち、いつしかご旅行やご商用の方々にも繰り返しお越しいただく宿となりました。「板画家」の棟方志功先生が、晩年東本願寺渉成園襖絵の作品づくりのために数ヶ月逗留されるなど、文人墨客に愛されてきたことも当宿の誇りです。
気負わず楽しむ隠れ家のように
創業から百八十年余り、いつの時代もさりげなく心地よいことを大切に、お客様をお迎えしてきました。
伝統や本物が息づく京の日常を、気負わず楽しめる隠れ家のような宿。歴史を重ねた空間は、旅のご一泊や連泊、京都に暮らすような長期のご滞在にも。静謐で豊かな時間が重なってゆきます。
割烹としての顔も。
カウンターや個室で
二十四節気の味わいを
四季の移ろいをしみじみ愛でる京の暮らし。井筒安においては七代目主人が、食材を育む風土、旬の風味、取り合わせの風景を重んじ二十四節気の節気ごとに献立を変えた料理をお届けしています。
少人数の会食から結納、法事、節句のお祝いまで、お食事のみのご利用もどうぞお気軽に。
ワインや日本酒などお酒も多彩に取り揃えています。
変わらぬ日常を大切に、
改装を経て居心地よく
激動する時代とともに歩み、その時々に応じたおもてなしに努めながらも、井筒安が大切にしてきたのは、そこに「京の日常」があること。
伝統をひけらかすのでも伝統に縛られるのでもない。京都に昔からある季節を大事にする心や、美しいものを見つけ出す眼、手技を用いた丁寧なものづくり、しなやかに人と交わる絶妙な間を心がけ、それらを受け継ぎ足し引きしつつ、何気ない心地よさをお届けしたいと七代の歴史を重ねています。
創業時の建築のうち、当時の趣を伝える格子の表構え、灯篭を設えた庭はほぼそのまま。水回りは快適に整え、カウンターやラウンジなど共有スペースには、ゆったりおくつろぎいただける落ち着いたデザイン家具を配置しており、初めての方にも館内の静けさとともに、懐かしい空気を感じていただけるはずです。
一歩控えたサービス。
お客様の思いに添う
至れりつくせりのおもてなしがお好みの方もありますが、井筒安では、お客様がご自身の心地よいペースでお過ごしになれるよう、サービスをほんの少し控えるよう心がけています。スケジュールがきちきちに詰まった旅のように、すべてが用意された時間は、何かを感じる自由を奪ってしまうかもしれません。
お困りのことがあった時にすみやかに応じられるよう準備をしながら、心遣いはさりげなく。京都を強調する演出やビジュアルも出しません。
京の日常にある安らぎを感じていただくための、井筒安流のおもてなしです。
ご挨拶
伝統とは変わらないのもなのでしょうか
京都の長い歴史の中、人々の暮らしは絶えず進み、より過ごしやすい方へと進んできたように思います。
伝統文化や技術も多様な変化を求められています。
多くの先人たちが積み重ねてきた伝統的な文化や技術、生涯をかけても習得するのは大切な事です。
その上で、先人達が積み重ねてきた伝統に一枚積み重ねる事こそが伝統そのものなのではないでしょうか。
変わらないものを残すには変わってゆかなければいけません
今日に生きている文化や技術でなければ受け繋がれて行かない
古き良きものは良いとし、新しきものも取り入れる
日々の学びが大切ですね。
まだまだ、至らぬ事ばかりではございますが、お越し下さる長年ご愛顧くださっている方や次世代の方にも
「何気なく心地よい」
と思っていただくことを喜びと誇りとして日々に精進を重ねてゆきたいと存じます。
何かを感じたくなったら、何かを下ろしたくなったらいらしてみて下さい。
そんな兆しを感じていただけるかもしれません。
ぜひ一度お越しいただけたら幸いです。
京都 料理旅宿 井筒安
七代目当主
井筒安次郎